看護学生、病棟勤務時代

エンゼルケアでの口の閉じ方 看護師経験7年、現役ナースが伝えます

看護師は「看取り」をする場面に立ち会うことがあります。

「看取り」とはもともとは、家族や介護者が本人のそばにいて最期まで(息をひきとるまで)看病や世話をすることを言っていました。

最近は家族や介護者が本人のそばにいるということは関係なく、人生の最期を迎えることを「看取り」と表すようになりました。

自宅や施設、病院など看取りの場所は様々です。

看取りの後に行うのがエンゼルケア

エンゼルケアとは亡くなられた方の身体をきれいにし、お顔をととのえることを言います。

エンゼルケアではなるべく生前の面影を可能な範囲で取り戻すようにしています。

看護師経験歴7年の私は多くの方を看取り、エンゼルケアをしてきました。

現在は訪問看護師をしており、エンゼルケアをする機会はあります。

なるべく生前の面影を取り戻せるように、勉強を積み重ねてきました。

エンゼルケアの中で一番困ったのが亡くなられた方の「口の閉じ方」です。

実際にエンゼルケアをされた看護師さんも同じ悩みを抱えているのではないでしょうか。

私の経験と学んだことから

  • エンゼルケアでの口の閉じ方
  • なぜ亡くなったときは口が開いているのか
  • なぜエンゼルケアで口を閉じるのか
  • エンゼルケアで口を閉じてもその後は緩む

についてお話していきます。

この記事を読めば、あなたが悩んでいるエンゼルケアをする際の口の閉じ方について学ぶことができます。

 

エンゼルケア 口の閉じ方

口を閉じる方法として「口の綿球の詰め方」「頭とあごの位置」がポイントになります。それぞれ説明していきます。

口の閉じ方➀ 口の綿球の詰め方

1.舌を巻き込まないように指で押さえながら、喉の奥の方から綿を詰める
舌のつけ根から綿が見える場合は詰めすぎです。

2.下あごの一番奥(えらの下のあたり)に詰める
下あごの骨が上がってくるので口が閉じます。

3.痩せすぎて生前のイメージと離れている場合は、口角の内側に綿を入れる
入れすぎないように注意しましょう。

口の閉じ方➁ 頭とあごの位置

あごを引いて目線を下にしてみると、あなたの口が閉じるのが分かると思います。

その状態が安定し維持できるように、枕を高くしあごの下に丸めたタオルを入れます。

無理に圧迫するとうっ血するので気をつけましょう。

うっ血とは

血液の流れが妨げられることです。うっ血により皮膚が暗青赤色になったり、浮腫みがおきます。身近な例だと輪ゴムで指をしばると跡が残りますよね。その状態はうっ血している状態です。

 

エンゼルメイクの方法はこちらの動画を参考にどうぞ

 

高齢の方に口を閉じる固定のため、縛るのは不向き

口を閉じようと頭頂部からあごの周りを包帯などで縛ってはいないでしょうか。

高齢の方に縛るのはおすすめしません。

縛ることで時間が経過すると縛った部位がうっ血し、むくみます。

看護師は「そのとき」の口を閉じようと試行錯誤し縛ろうとしますが、その後の身体の変化を考えると縛らない方が良いです。

亡くなられる方は高齢の方が多いです。高齢者は全身の筋肉が少ないですが、あごの筋肉も少なく口の動きの働きが衰えています。

死後硬直が開始するのも遅く、死後硬直はほとんどおこりません。

筋肉が融解したタイミングで葬儀屋の方がほどいてくださりますが、結局口は開くようです。あごを縛るのは有効ではありません。

もし、縛るとすれば筋肉がある方です。死後硬直が開始する目安で縛ると効果があります。縛るときはきつく縛りすぎないようにしましょう。

死後硬直とは

死後硬直とは亡くなられた後に筋肉が固くなることをいいます。亡くなられた後は個人差がありますが約2~3時間たつとあごから硬直します。

亡くなられた後、約30~40時間で硬直が徐々にとけます。これを融解といいます。

亡くなってしばらくしてから「表情が穏やかになった」と言われますね。筋肉が融解して少し微笑んだようなお顔になります。

 

エンゼルケア なぜ口が開くのか?

そもそもなぜ口が開くのか疑問ですよね。

口が開いている理由は次の2つです。

  • もともと口は開いている
  • 気道確保のために開けた

この2つの理由について説明していきます。

口が開いてしまう理由➀ もともと口は開いている

私たちは普段から口が半開きの状態で過ごしています。

あなたの今の口元はどうでしょうか?少し開いているかと思います。

口を閉じようとすると口元にちからが入りますよね。

「口を結ぶ」「口を閉じる」という表現があるように、口を閉じた状態とは意識して口を閉じていることになります。

口が半開きの状態が自然な状態なので、亡くなったときは自然と口が開いています。

口が開いてしまう理由➁ 気道確保した状態にしている

呼吸が楽になるよう、医療者が気道確保をした状態にすることがあります。

今あなたが起きているのであれば、上を思いっきり見てください。

首が真っすぐ伸びたと思います。口が開き、口に力が入っているかと思います。

気道確保をした状態とは、その状態で横になっていることをいいます。

「空気の通り道を確保」できるため息苦しさが軽減します。

亡くなる前から長時間にわたって気道を確保した状態だと、その状態で身体が硬くなるので口が開いた状態になります。

 

エンゼルケア なぜ口を閉じないといけないのか

エンゼルケアのときに看護師は口を閉じようとします。なぜ口を閉じようとするのか。その理由は2つあります。

  • 生前の面影になるべく戻すため
  • 移動中の体液の流出を防ぐため

この2つについて詳しくお話していきます。

エンゼルケアとは「生前の面影をなるべく戻すこと」とお話ししました。

気道確保した状態だと不自然なお顔、口の状態になっているので、なるべく生前の面影に戻せるよう口を閉じます。

亡くなった後は、医師による死亡診断、看護師によるエンゼルケアをします。その間ご家族やご友人との時間もつくります。

その後は亡くなられた方を葬儀場の方が移送します。移動中は体液が流出することがあります。

体液が流出すると、亡くなられた方の身体が汚れる、ご家族が汚れた姿を見て悲しい思いをすることもあります。また、体液からの感染リスクがあります。

体液の流出を予防するために口を閉じます。

 

エンゼルケア 口を閉じてもまた緩む

エンゼルケアではなるべく口を閉じるようにしますが、死後硬直の後、筋肉が緩むと少し口が開きます。それは自然な現象です。

エンゼルケアで口を閉じる目的は

  • 生前の面影になるべく戻すため
  • 移動中の体液の流出を防ぐため

になります。

もともと私たちは口が少し開いた状態が自然です。死後硬直後に時間が経過し、口が緩むのも自然な現象です。

筋肉が緩んでから無理に閉じなくても大丈夫です。その頃には体液の流出の心配はないかと思います。

 

エンゼルケア 口の閉じ方は看護師の腕の見せ所

エンゼルケアをする際に悩む口の閉じ方。

この記事では

  • エンゼルケアでの口の閉じ方
  • なぜ亡くなったときは口が開いているのか
  • なぜエンゼルケアで口を閉じるのか
  • エンゼルケアで口を閉じてもその後は緩む

についてお話しました。

今回のお話はきっとあなたがエンゼルケアをする際に参考になると思います。

エンゼルケアをする際は、自然な口の状態にしたいですよね。

自然な口の状態にすることは看護師の腕の見せ所でもあります。

エンゼルケアの際に口の閉じ方が分からない、口の閉じ方を知りたい際は、この記事を再度読んでいただければ、良いエンゼルケアができると思います。

最後に

このブログでは訪問看護や在宅サービス、健康、投資など。
私が日々学んでいることを発信しています。
様々なジャンルですが、ひとつでもあなたの心に響けば嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました♡

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ABOUT ME
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はるか
三次救急病院の病棟7年勤務、現役訪問看護師。看護学生を乗り越え、三次救急の病棟に就職。業務に追われてあっという間に7年経過。新たなステップアップのため訪問看護へ転職。はじめは戸惑いが多かったけど、楽しい日々をおくる。生と死に向き合ってきた今までを振り返り、 限りある命、人生、時間をどこに投資するか考えさせられる。「人生とは投資であり、投資とは人生である。」訪問のお仕事、看護について、健康など日々学んだことや投資を記事にしています。